髙橋 理恵 2026.10
株式会社ドット
サーベイの選択肢には、名前がありません。
両端の2つをのぞいて。
部長! もう限界です!
どうした!?
なんであいつらは暇そうにしてて、こっちばかり、こんなに忙しいんですか!
待ちたまえ。まずは深呼吸をして落ち着きたまえ。……一体何の話だね。
何って決まってるでしょ!
ドットの話ですよ!
は?
サーベイのドットの話!
サーベイのドットの話だったの?
わかるわけないよね!?
ドット部の中央値から、激しいクレームが来てるんですよ。
ドット部の存在が
衝撃なんだが
サーベイの回答のたびに、出動要請がかかる。そこまではいいと。
でも、いつも中央値のドットばかり出動要請がかかり——
まぁ、平均値だからね……。
端のやつらは暇すぎて、優雅に窓際族をしてるどころか、日本一周の自転車の旅に出かけるやつまで現れる始末です。
そんなに出ないの!?
日本一周の自転車の旅に出た「端のドット」。
のどかな海沿いの道。満喫している。
そしてついに……クレームが来ました。
「このサーベイでは、真実が読み取れん」と。
「株式会社平均値」から。
まず社名から
変更したほうがよくない?
だから、僕、ドットたちと相談して考えたんです! 社員の本音を引き出す施策を!
え? ドットと相談? え、あ、そうなの?
設問に「ぶっちゃけ」をつける。
中央値を選んだら、猫がウルウル顔で「本当に?」と聞いてくる。
それか、熱血コーチみたいな人が出てきて「お前はやれる! もっと尖っていけよ!!」と言ってくる。
ウルウル顔で「本当に?」と聞いてくる猫。
画面いっぱいに迫っている。
最後に「どれくらい本音で答えましたか?」と追加する。
あ、でも本当に真ん中の人は、真ん中でいいんですよ。
でも部長! 何かをしないと、このままでは中央値が過労でつぶれてしまいます!
えぇい、よくわからんがわかった! とりあえず試してみろ!
平均値
おいおい、なんだこれは! 社員が全員尖ってるじゃないか!
平均値
社長! 大変です! あのサーベイは危険です! 社員が無駄にトガっ——
振り向いた「平均値の社長」。
誰よりも個性的ないでたちになっている。
平均値
どうした?
お前もかい!
尖っていこうぜ、Wevox
設計意図
※下書きです。提出前にご自身の言葉に差し替えてください。
誰に向けたか
経営層や人事ではなく、サーベイに答える側の従業員に向けました。既存のコンテンツ(「はたらく!アニマル商事」など)は管理職・人事のあるあるが中心で、回答者本人を主役にしたものが見当たらなかったためです。
なぜこの切り口か
実際の回答画面を確認したところ、選択肢は7つの点で、両端にだけ「全く感じていない」「とても感じている」のラベルがありました。真ん中の5つには名前がありません。いちばん選ばれるのに、名前がない。ここを起点にしました。
— 本音が出ないのは回答者の怠慢ではなく、構造の問題だと考えました。
笑いの向きについて
回答者を笑う形にはしていません。笑われているのは架空のドットたちで、読者は部長のツッコミ側に立って読めます。「本当に真ん中の人は、真ん中でいい」という一行を入れたのも、本音がど真ん中の人を否定しないためです。
なぜ全編を漫画にしなかったか
文章で引っ張ることで「え、ドットの話!?」という驚きが成立します。最初から絵でドットを見せると、この驚きが前倒しになって消えます。挿絵は、文章では伝わりにくい3か所(自転車の旅・猫・最後の社長)にだけ置きました。
検討して採用しなかった案
- 社内議事録の体裁で同じ話を組む案。上品さでは勝るが、オチの強さで劣ると判断
- 匿名掲示板のログの体裁。「名無しさん=名前のない点」の符合は強いが、読者層を選ぶため見送り
- Xのタイムラインの体裁。社長が3年間「右端にいます」と投稿し続け、いいねが0だったというオチまで作ったが、読後感が重くなるため見送り
お題2への別案
【誤爆選手権】——メールの誤爆エピソードを募集し、採用作を公式Xで公開する投稿企画。誤爆は「言うつもりのなかった本音が、事故で伝わってしまう」こと。サーベイは「言っていいはずの本音が、なぜか伝わらない」こと。同じ「本音の伝わらなさ」を、別の角度から扱う企画として考えました。